2012年5月22日火曜日

仏教石窟寺院の分布


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インドにおける仏教石窟寺院の分布をみると、圧倒的にマハーラーシュトラ州の西ガーツ山脈の縁辺部に多い。ただし、最古と目される例は西ガーツから遠く離れたビハール州のローマス・リシ石窟であり(前3世紀中頃)、西ガーツで石窟寺院が開鑿されるようになる前1世紀頃に、東方から仏教石窟という信仰空間のあり方とその開鑿技術が伝えられたものと考えられる。


アジャンター石窟群

西ガーツ山脈の石窟寺院をみると、周辺の低地から山地への移行帯周辺に分布されていることが多い。もちろん、石窟の開鑿に適した岩盤・立地という要件も関わっているのだろうが、社会的な背景として低地と高地を結びつける交通路あるいは交易路との関係が重要である。西暦紀元前後の時代にはアラビア海交易が活発となるが、低地の沿岸部に到着したさまざまな物資が内陸部へと運ばれるそのルート上に石窟寺院が開鑿されたと考えられる。交易活動によってもたらされた富が石窟寺院の開鑿に投資されたことも事実で、まさに石窟寺院はそうした歴史を物語る歴史的建造物なのだ。


ピタルコーラー第3窟
仏教石窟寺院のKMLファイルはこちら。
Buddhist Caves.kml


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